アルバイト体験談
漁船の荷揚げ
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自然と寄り添うことで心身が強靭に(男性27歳:アルバイト当時13歳)
●身に染みた自然の厳しさ●
親戚一同が漁師一家だったので、中学生になると自然と家の仕事を手伝わされるようになりました。強制的ではありましたが、周りでもそういう友人は多かったですし、大して反発もなかったですね。
仕事は、船のなかにある魚や蟹を市場まで運ぶこと。毎日あるわけではありません。仕事の量は季節によってまちまちでした。とりあえず、魚が獲れなきゃ仕事はありません。夜9時から午前3時まで働いて、時給は1500円。当時の自分にとって仕事はきつかったです。平日にも仕事があったので、学校や部活が大変でした。冬になると、雪のなかでの作業もあり、凍え死ぬかと思いました。克服するためには防寒着を着込んでホッカイロをベタベタと貼って。それでも寒かったことをよく覚えています。寒さだけじゃなく、風や雨、嵐。人間は自然には勝てないんだということを強く感じました。
●忘れられない料理の味●
キロ3000〜5000円もする蟹や魚をたくさんもらえたし、田舎のバイトのなかでは一番時給が高い!割はいいアルバイトでしたが、学校にいって、部活やって、そして夜はアルバイト。働く時間帯は未成年にはキツイところです。そんな疲れ切ったときに嬉しかったのが、休憩中に出された新鮮な素材を使った料理。主に焼き物や煮物系でした。家が漁師一家なわけですから、親しんだ味ではあるんですが、仕事中に食べるのはまた格別。そして忘れられないのが、くたくたに疲れたときに出されるてっぽう汁(蟹のみそ汁)。今まで食べたもののなかで一番おいしかったですね。大人になって、東京に出てきてから、いろいろなものを食べました。…が、あのときに食べたてっぽう汁よりおいしいものにはいまだに出会いません。味だけじゃあなく、働いた充足感も、味をおいしく感じさせるエッセンスになっていたのかもしれません。
●手に入れたのは強さ●
当時、別に辞めたいと強く思ったこともありませんでした。地元を離れるまで、仕事は続けました。5年間やっていたわけですが、そのあと、どんなアルバイトをやっても辛いと思ったことはなかったです。今、振り返るとそれだけ過酷な仕事だったっていうことかもしれません。お金だけでなく、体力、根性も養えたと思います。お金はいつかなくなるけれど、忍耐力や協調性といったものは、いつまで経っても自分のなかに残ります。それに、ほかの人よりも若いころから働いているので、お金って簡単にもらえるものじゃないんだ、ということは身に染みました。苦労して手に入れるものなんだ、って。そして、その苦労があるから、お金だけじゃない、いろいろなもののありがたみが分かることができたんだと思います。5年間続けたバイトで、生きていくためのいろんな「強さ」を手にいれましたね。